雨の国の王者

探偵小説好事家本人のためのノート

南条範夫『念流合掌くずし』春陽堂(春陽文庫)

南条範夫『念流合掌くずし』春陽文庫

 「(略)あるものは、ただ行く手の空にかかる秋水三尺の孤剣、赫奕たる白銀一振の幻。」

 

 かの菊池仁は、正統派チャンバラ小説として本書を、南條範夫の一番のおすすめ品と挙げている。わたくしはふつうによくできた娯楽時代小説として読んだ。血しぶきは飛ぶには飛ぶが、全体を通しての調子は明朗時代小説。肩ひじを張らずに日向ぼっこしながら読むにふさわしい。

 2025年11月6日読了。