雨の国の王者

探偵小説好事家本人のためのノート

2019-01-01から1年間の記事一覧

西村京太郎『十津川警部 影を追う』徳間書店(徳間文庫)

いやあ、さすがは西村京太郎。ある意味で、読者の期待を裏切ってくれる。 今回は、冒頭の謎を、警察機構への挑戦状かと思わせておいて、なんと、国家を揺るがすポリティカルフィクションへと発展させるとは。 それにしても、<十津川省三>班は、特殊部隊の…

アガサ・クリスティー『火曜クラブ』早川書房(早川文庫)

なんだか、クイズ集みたい。 集中、ベストは「二人の老嬢」かな。 アラフォーを❝老嬢❞と呼ぶのは、今のご時世ではいくぶん辛いかもしれないがね。 2019年12月13日(金)読了。

小杉健治『黙秘 裁判員裁判』集英社(集英社文庫)

小杉健治らしいヒューマニズム溢れる長篇。 事件の核心となる、義理の息子になろうとしていた人物の心の揺れ具合が、いま一歩理解しにくいし、また、過去と現在の時間のつながり(回想シーンが続いているのかと思いきや、次の行でいきなり現在に戻っていたり…

高木彬光『能面殺人事件(改訂版)』春陽堂(春陽文庫)

装画*中島靖侃 再読。おそらく40年ぶりぐらい。 初読時は、ひどい出来だと、読後放り投げたような記憶だったのだが、読み直してみて、案外、読めなくはないと見直した。 まあ、作者は、小説自体へたくそだし、よくもまあ探偵小説の大家と崇められているも…

10月19日(土)

明け方近くまで降りつづいた雨は、夜明けとともに止む、見上げるとそこには雲が。 自宅近くのスーパーマーケットの朝市で野菜と果物と魚を買い、その足で隣市へ配偶者とお出かけ。 そこで毎年開催する大きな蚤の市を冷やかすためだ。 以前は愉しみにしていた…

角田喜久雄『緋鹿子伝法』春陽堂(春陽文庫)

うむ、悩ましい。 主人公の「お紋」(女装の剣客)は、もちろんそうだが、これは、内容のお話。 というのも、登場するのは、江戸時代の身分制度の最下層民だとか、あぶくをふいてよだれを垂れさげる気✖い男(若殿)だとか、元服もおぼつかない低能児(おばか…

角田喜久雄『虹に立つ侍』春陽堂(春陽文庫)

酔っているので手短に。 もう、素敵なんだから。 北上次郎が『ミステリマガジン』の連載で、角田喜久雄の悪口(と私は受け取った)を云っていたように記憶するが、やっぱり私は角田喜久雄贔屓だ。 だって、心温まる人情噺のくだりでさえ、並大抵の時代小説作…

7月23日(火)

曇り。 とは云うものの、梅雨だから、小雨ていどには降ったかもしれないが、ほとんど室内に閉じこもっているような生活なので、どういう天気だったのか判りかねる、と云うのが、正直なところ。 夕食、白飯、納豆キムチ、南瓜のサラダ、レタスと胡瓜のサラダ…

7月20日(土)

雨。台風の影響らしい。そして、午後からは、激しい風。 午前中に参議院議員の期日前投票や買い物に行っておいてよかったよ。 夕食、白飯、納豆、心太、レタスとミニトマトのサラダ、胡瓜と烏賊の酢の物、鰯の塩焼き、ポタージュスープ、茄子の豚肉巻きとエ…

山口和彦監督『ウルフガイ 燃えろ狼男』1975年

いちおうは、原作(平井和正)あっての作品らしいが、実は、わたくしは<アダルト・ウルフガイ・シリーズ>をほとんどといって読んでいないと思う(思うとしか云えないのは<ウルフガイ・シリーズ>ならとても愉しく読んだ記憶がはっきりと残っているのだが…

小沢茂弘監督『多羅尾伴内 七つの顔の男だぜ』1960年

片岡千恵蔵版<多羅尾伴内>というか、<多羅尾伴内>といったら、千恵蔵か。 しかしながら、千恵蔵も、齢60歳近くになると、颯爽とした、正義と真実の使徒<藤村大造>よりも、七変化の代表者<多羅尾伴内>の方がはるかにしっくりとくるなあ。 最後の、…

7月14日(日)

わたくしのブログでは、時期てきな話題には極力触れないつもりであるとは以前記したが、やっぱり疑問なので、以下書き留めておくことにする。 最近放映されている「いすゞ自動車株式会社」のTVのCMのことである。 それは「エルフ『みつめるトラック』篇…

小林恒夫監督『少年探偵団 第二部 二十面相の悪魔』1956年

雨のそぼ降る夕方ちかくの人っ子一人いない薄暗い遊園地での、無言での追いかけっこや、一人またひとりと消えていく狭く暗く冷たい密室状況ともいえる鍾乳洞での場面は、唸るほど凄みがあるし、大時計の針での断首や針石での拷問あるいは、か弱き女性や非力…

小林恒夫監督『少年探偵団 第一部 妖怪博士』1956年

怪人二十面相も、子ども相手に律儀な対応をするくせに、たくさんの人が集まっている洋館をダイナマイトらしきもので木っ端微塵に吹き飛ばすは、名探偵明智小五郎たちをコンクリート詰めにしようとするは、やりたい放題だなあ。 わたくしは、そんな怪人二十面…

6月15日(土)

記すのを忘れていたのは、--譲りか。 即位の日 新喜劇を 観てる我 あるいは 即位の日 新喜劇で 笑う我 お粗末。 個人てきには秀逸と思うのだが。

5月8日(水)

一日中、晴れてはいるが、一昨日までと比べれば、昨日と同じように朝晩は幾分寒いというほどではないかもしれないが、冷えるのは確かかな。 わが子から「(せっかく買ったのだけれども、匂いが気に入らず)要らないので、あげる」と、香水「ジャンヌ・アルテ…

森一生監督『ある殺し屋』1967年

作品コメント順序が(4,5年前に観た『ある殺し屋の鍵』とは)逆(作品年代順ではない)なのは、勘弁願いたい。 だって(題名はそうかもしれないが、厳密にはシリーズものではないにしろ)、わたくしが観た順がこう(『ある殺し屋の鍵』→『ある殺し屋』)…

山口和彦監督『空手バカ一代』1977年

ノンフィクション風フィクション。 もちろん千葉ちゃん主演だから、アクションに重きを置いたエンタテインメントなんだけど、クライマックスでは、ばんばん人を殺すのだよね。ほんと『燃えよドラゴン』ぽいなあ。千葉ちゃんらしさを観ることができるのは、は…

3月11日(月)

昨年末から、運行管理者(貨物)資格を取得するべく、お勉強を始めていた。 実際は今年に入ってから本腰を入れ始めたのだが、私は運行管理者の受験資格が無いので、まずは資格を得るため、平日の1月28日~30日の3日間、基礎講習を受けた。 また、テキストと…

その97続続『国産長篇SFマイフェイヴァリット50』

さて、それでは順番に見ていこう。 1.できれば挙げたくなかった作品。つまらないという意味ではなく、いまさらなにを、という意味で。わたくしの読書量が多ければ外せたのだが(以下これの繰り返しが多数あり)。 2.これは頷いてもらえるだろう。「白き日旅…

若山三郎『お嬢さんとドラむすこ』春陽堂(春陽文庫)

やあ、行き当たりばったりの作者に都合よすぎる展開が素敵。 最初よい味を出していた矢車則子が、頁を捲るごとにだんだんしょぼくれていくのが残念。 もっと活躍させるべきキャラクタ設定なんだけどなあ。 まあ、これもハッピーエンドかしらね。 2019年1月3…