雨の国の王者

探偵小説好事家本人のためのノート

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

エド・マクベイン『ラスト・ダンス』早川書房(H・P・B)

ミュージカルの著作権争いから起こる連続殺人事件が中心のお話だが、探偵小説の恰好として面白いのは地名の錯覚ぐらいで、あとはとりたてて称賛すべきところはないように思う。 それよりも、わたくしが気になったのは、 ・・・・・・ダニー・ギムプはキャレラにと…

エド・マクベイン『ロマンス』早川書房(H・P・B)

われらが<バート・クリング>君の今度の相手は、アフリカ系アメリカ人だ。 まあよしなに。 静かに見守ろう。 発生する事件は、いたってストレート(出世欲に駆られた犯行)で、捻りはない。 本は厚みがあるが、内容がそれに比例しているかの判断は、もちろ…

エド・マクベイン『キス』早川書房(H・P・B)

<フランク・シナトラ>の一曲「キス」は、わたくしも聴いてみたいなあ。 本書は『寡(かふ)婦』後篇といってよいと思う。あるいは『寡(かふ)婦』自体が、この『キス』の前篇もしくは、『寡(かふ)婦/キス』で第一部/第二部か。 それぐらい両作は、あ…

エド・マクベイン『寡(かふ)婦』早川書房(H・P・B)

先月の12日に、記した件(ポケミスあるいは文庫どちらかの選択)は、結局、標記に落ち着いた。 ということで、 本書は「なりすまし」が、まずは、お話のひとつのキイワード。エロティック(本書帯は「エロティック」との言葉だが、裏表紙は「エロチック」と…

エド・マクベイン『命果てるまで』早川書房(ハヤカワ・ミステリ文庫)

カバー・金森 達 とうとう<バート・クリング>青年も年貢の納めどき。おめでたいゴールインか、はたまた人生の墓場に入ってしまうのか。 ともかく<オーガスタ・ブレア>との結婚だ。 その嬉しく華々しい結婚式直後、花嫁(オーガスタ)の蒸発劇。 失踪か、…

エド・マクベイン『われらがボス』早川書房(ハヤカワ・ミステリ文庫)

カバー・金森 達 <87分署>シリーズ中、いちばんの問題作。 初読時は、いつもとは異なるストーリイ展開だなと感じていたが、今になっていろいろ情報が入ってくると、これは当時の政治風刺を念頭に試みたものらしいことが判る。 と偉そうなことを云っても、…

エド・マクベイン『サディーが死んだとき』早川書房(ハヤカワ・ミステリ文庫)

カバー・金森 達 本書は、数多い<87分署>シリーズのなかでも指折りの傑作だと思う。 以前の<87分署>の某作の被害者を彷彿とさせる本作の真の主人公<サディー>の肖像は強烈な印象を残す。 また犯人の殺害動機も唸るばかりだ。 そして、愛しの<バート・…

エド・マクベイン『はめ絵』早川書房(ハヤカワ・ミステリ文庫)

カバー・金森 達 世間での評判は、いまひとつのようだが、わたくしは、愉しく読み了えた。 云っても構わないと思うので、云ってしまうと、ジグソーパズルのピースをすべて揃えると宝物の隠し場所が判明するのだ。 その欠片を集めていく悪戦苦闘の過程が面白…

エド・マクベイン『八千万の眼』早川書房(ハヤカワ・ミステリ文庫)

カバー写真フジテレビジョン提供87分署シリーズ『裸の街』より さて、本筋は、名探偵が登場するような探偵小説に似つかわしい<毒殺トリック>を取り扱っているのだよ。そして、脇筋は、わが<バート・クリング>の恋愛模様を描いている。 それにしても、男…