雨の国の王者

探偵小説好事家本人のためのノート

その51『百人一書』~戸田和光氏へ

 これは、わたくしが、以前、愉しみにしていた<謎宮会>という探偵小説についてのコミュニティサイト(http://tokyo.cool.ne.jp/meikyu/)の、2001年12月-2002年1月号に掲載された、戸田和光氏『極私的「百人一書」』に対する、わたくしなりの<極私的な>回答である。
 
 内容については、前記サイトをご覧いただきたいが、わたくしの、選定については、誤解があってはいけないかと、少しばかり、補足しておく。
 
 わたくしが、自らに課したことは、次の三つである。

 1.選ぶ作品は、昭和20年~63年(つまりは戦後の昭和時代)発表・発行。
 2.ハードボイルド作品は除く(個人てきな感情を省くため)。
 3.泡坂妻夫作品は除く(同、上記)。

 1.については、あまりにその対象範囲をひろげても、わたくしは、最近の探偵小説については、ほとんどというより、まったく読んでいないのだ。選びようがないではないか。
 2.意識して外したのは、例えば、順不同で、数点挙げると、

 石原慎太郎『汚れた夜』
 河野典生『群青』
 中田耕治『危険な女』
 山下諭一『危険とのデート』
 結城昌治『死者におくる花束はない』

 など、有名、人気作品、続続なのだけれども、次に、具体てきに云う。

 結城昌治は、これはややこしいかもしれないが、ハードボイルドという括りでいえば、ベストは、『幻影の絆(幻の殺意)』だと、わたくしは思っているけれど、いっとう好きなのは、上記作だ。それでも、自分の思いこみを、意識して思いとどまり、選んだのは、下記、選出のとおり。
 仁木悦子にしたって、『冷えきった街』がベストだと信じているんだけれども、以上のことから、選定作は、異なったものになっている。
 わたくしは、ハードボイルド探偵小説に、想いいれが強すぎるため、あえて、選ばなかったと、ご理解いただきたい。
 3.についても、その考えは、同様で、この探偵作家については、ひとことでは云えないくらいの想いいれがあるため、泣いて、棄権したのだ。

 くだくだしいので、以下、発表。
 戸田和光氏に倣って、(たぶん)五十音順。
 
 青柳友子 あなたの知らないあなたの部屋
 赤江瀑 オイディプスの刃
 赤川次郎 幽霊列車
 赤瀬川隼 潮もかなひぬ
 赤羽堯 脱出のパスポート
 阿木慎太郎 拳聖処刑行
 飛鳥高 ガラスの檻
 鮎川哲也 憎悪の化石
 有馬頼義 殺すな
 井沢元彦 猿丸幻視行
 生島治郎 黄土の奔流
 石沢英太郎 カーラリー殺人事件
 岩崎正吾 横溝正史殺人事件あるいは悪魔の子守唄
 江戸川乱歩 化人幻戯
 逢坂剛 空白の研究
 大谷昭宏 新婚夫婦殺人事件
 岡嶋二人 あした天気にしておくれ
 岡田鯱彦 薫大将と匂の宮
 小沼丹 黒いハンカチ
 海渡英祐 影の座標
 景山民夫 虎口からの脱出
 笠井潔 サマー・アポカリプス
 加納一朗 シャット・アウト
 加藤薫 ひとつの山
 狩久 不必要な犯罪
 紀田順一郎 幻書辞典
 樹下太郎 銀と青銅の差
 久米康之 猫の尻尾も借りてきて
 黒岩重吾 休日の断崖
 小泉喜美子 血の季節
 小杉健治 絆
 小林信彦 紳士同盟
 西東登 蟻の木の下で
 坂口安吾 明治開化安吾捕物帖
 佐々木譲 真夜中の遠い彼方
 笹沢左保 霧に溶ける
 佐野洋 透明受胎
 島田一男 黒い花束
 島田荘司 斜め屋敷の犯罪
 高木彬光 人形はなぜ殺される
 高場詩朗 神戸舞子浜殺人事件
 高橋泰邦 大暗礁
 高森真士 割れた虚像
 多岐川恭 氷柱
 竹本健治 匣の中の失楽
 多島斗志之 <移情閣>ゲーム
 田中光二 わが赴くは蒼き大地
 檀一雄 夕日と拳銃
 陳舜臣 炎に絵を
 塚本邦雄 十二神将
 辻真先 宇宙戦艦富嶽殺人事件
 土屋隆夫 影の告発
 角田喜久雄 高木家の惨劇
 都筑道夫 悪意銀行
 天藤真 殺しへの招待
 戸板康二 グリーン車の子供
 塔晶夫 虚無への供物
 東郷隆 定吉七は丁稚の番号
 富島健夫 容疑者たち
 中薗英助 密航定期便
 中町信 奥只見温泉殺人事件
 中村真一郎 黒い終点
 夏樹静子 天使が消えていく
 南條範夫 三百年のベール
 仁木悦子 殺人配線図
 仁科東子 針の館
 西村京太郎 D機関情報
 西村寿行 滅びの笛
 新田次郎 空を翔ける影
 日影丈吉 内部の真実
 東野圭吾 放課後
 樋口有介 ぼくと、ぼくらの夏
 平井呈一 真夜中の檻
 平石貴樹 だれもがポオを愛していた
 広瀬正 T型フォード殺人事件
 福島正実 異次元失踪
 藤沢周平 秘太刀馬の骨
 藤原審爾 夜だけの恋
 藤村正太 脱サラリーマン殺人事件
 藤本泉 地図にない谷
 船戸与一 夜のオデッセイア
 星新一 気まぐれ指数
 眉村卓 ぬばたまの・・・
 三好徹 風は故郷へ向う
 宮脇俊三 殺意の風景
 水上勉 耳
 松本清張 零の焦点
 もりたなるお 真贋の構図
 森村誠一 異型の白昼
 山下武 異象の夜に
 山田太一 飛ぶ夢をしばらく見ない
 山田風太郎 妖異金瓶梅
 山田正紀 火神を盗め
 山村美紗 花の棺
 山本周五郎 寝ぼけ署長
 結城昌治 白昼堂々
 夢枕獏 飢狼伝
 横溝正史 本陣殺人事件
 連城三紀彦 運命の八分休符

 以上、九十九人一書。
 詳細については、別項で。