聖アレキセイ寺院の殺人事件に法水が解決を公表しなかったので、そろそろ迷宮入りの噂が立ちはじめた十日目のこと、その日から捜査関係の主脳部は、ラザレフ殺害者の追求を放棄しなければならなくなった。(小栗虫太郎『黒死館殺人事件』)

毎度ながら、写真左から書名等を記していきます。
坂口安吾『不連続殺人事件』角川文庫
坂口安吾『復員殺人事件』角川文庫
仁木悦子『黒いリボン』角川文庫
仁木悦子『凶運の手紙』角川文庫
仁木悦子『みずほ荘殺人事件』角川文庫
続いて、その上に置いてある本ですが、上から順番に、
片岡義男『狙撃者がいる』角川文庫
片岡義男『ムーヴィン・オン』ハヤカワ・ミステリ文庫
最初の某作は、過大評価されすぎのパクリ長篇探偵小説。作者の高慢ちきな態度も鼻もちなりませんが、それより、そのあまりもの度を超した先行作品の模倣具合に呆れ、手放しで褒めそやしている御方たちに、こうこうこうだから、本書については、わたくしは高い評価はいたしかねると注文をつけると、まちがいなく逆ギレに遭いますのでお気をつけください。(経験者談)
そして、二番目の作品は、もっとひどい。自信家の人気探偵小説プロパーの手による完結作ですが、目も当てられません。未読で、ご興味のある方はぜひお読みください。併せて、勧めたのがわたくしだと非難しないでください。
そんなことより、肝心の<仁木悦子>ですよ。
ご存じの方は、ご存じのように、極端な云い方をすれば、<仁木悦子>こそが“国産ハードボイルド探偵小説”の第一人者かもしれません。その彼女の最高傑作が上記『冷えきった街』です。
まあ、玉石混交ですが、冒頭の二作を除いては、とても読み応えのある秀作揃いの棚だと自負します。