それほど重量はないけれども、真剣を振り回して何人もの相手を倒すのは、非力な女性にとってはさぞかし難しいことだろう。それに血脂がつき刃こぼれした刀は使い物にならない。それをカヴァするのはやっぱりパワーだろう。また、敵に斬り込むときの主人公“お勝”の腰の高さをみれば、彼女が道場主の養女で剣の使い手という設定には疑問だけれども、それでも全体を通して興味深く観ることができたのは、逆に主人公が華奢で美形の剣士だからに違いない。これが筋肉もりもりのオカチメンコだったら、そりゃあ映画にはならないよね。配役もよくできていて、<コンドー“双生児”正臣>はポンコツ美男子の主人公の弟役、宮園氏の同期<三島ゆり子>のツンとしたすまし顔の艶っぽい感じは昔からなのね。彼女こそ妖艶。そして“霞のお新”に対する“黄門様”<西村晃>は、どう見ても悪役だなあ。けれども、終盤に出てくる勘違い野郎(特に名を秘す)は、実弟は、日本が世界に誇る映画スタアだと確信しているし大の贔屓なのだが、こいつに関しては嫌いだ。殺陣を称賛してる声がよく聴こえてくるが、わたくしにはそれがまったくの自分本位に見えて映画を台無しにているようにさえ感じられる。当時の残酷路線のテイストもあり、お好きな方はお好きかもしれない。
2025年9月20日(土)視聴。