雨の国の王者

探偵小説好事家本人のためのノート

中川信夫監督『吸血蛾』1956年

 怪奇色も官能色もほどよく盛られていて、なんだか、江戸川乱歩風で、おもしろくなりそうなのだが、肝心のストーリイがごたごたしすぎていて、犯人捜しには向かない感じ。
 もったいないような気がする。

 出演陣は、我らが名探偵<金田一耕助>役は、“池部良。原作からはほど遠いハンサムボーイときたものだ。
 まあ、スタアあっての娯楽映画だから、それは仕方ないことなのかなあ。
 そして女優陣では、次つぎと殺されていくモデルたちではなく、脇役(弓ちゃん)の“安西郷子”がいちばんの美女とは、なんと皮肉なこと。

 映画でも、被安打率(被害者製造マシン)の高い<金田一耕助>をとくとご覧あれ。
 2023年5月5日(金)視聴。