雨の国の王者

探偵小説好事家本人のためのノート

ジョゼフ・ハンセン『闇に消える』早川書房(H・P・B)

 再UP!
 『小説推理2005年1月号』(双葉社)の特集幻想と怪奇への誘い⑨「中井英夫『虚無への供物』の原風景を探る」中の次の一文、

 ・・・中井が「倒錯した性愛者」であることは、・・・

 を読んで少なからずショックを受けた。
 塔晶夫が同性愛者であろうとなかろうと『虚無への供物』への、わたしの評価はいささかもゆるぎない。けれども、仄聞していても、なにかしらぞくりとした喩えようのない代物が、わたしのなかで、音をたてた。

 この<デイヴィッド・ブランドステッター>シリーズの第一長篇『闇に消える』も、同性愛に興味のない、わたしからすると、その文体やプロットに眼がいくわけで、それは端整でみずみずしく、好ましい印象ではあった。
 問題は、同性愛を主題とするらしい、このシリーズに今後どう接していくかだ。
 しばし、読みつづけてみようかと思うが。
 12月20日(月)読了。