
カヴァー裏の作品紹介には、「(略)時代小説の魅力を鏤めた長編小説。(略)」とあるが、これはどうみても短編連作だろう。
内容はかいつまんで、今様でいうと、
「馘首になった元地方公務員が、大東京に出てきて、ハローワークに通いながら、尋ね人の居所を捜しまわる。」
というお話し。
徒手空拳では捜しえないのも無理はないから、それに協力する人物が現れるのだが、おんぶにだっこ。協力者には何度も危地を救われるし、行方不明者を見つけてくるのも、協力者なのだ。
元公務員は、日々の生活で精いっぱいらしいが、やあ、それでも、だらしないなあ。
多くの読者は、その元公務員<青江又八郎>の造形を褒めているようだが、そういうこともあって、わたくしは、彼にはあまり興味を引かれない。それよりも、彼の周りを固める登場人物のひとり、小柄でそら豆のように細長い顔で、その余分なほどに長い顎の横にある小豆大のほくろから真黒な毛が二、三本はえた貧相な風貌の、暮らしに疲れた四十近い<米坂八内>に、いっとう魅力を感じる。
やはり、ヒーローは見てくれだけではなく、心から恰好良くなければ。
2024年11月7日読了。