
今まで、白状しているように、わたくしは、よき斎藤栄の読者ではないが、そこはそれ、わたくしなりの事情があって、本書を手にとったのだけれども、さすがに、昭和五十年という、長篇デビュウからは、そう経過はしていないときの、初初しい時期だからこその、力作ではないかと、ある意味、納得した。吉田兼好についての、推理は、先人の知恵の、借り物かもしれないが、素人には、そうなのかと頷かせるぐらいの、饒舌さで、語られる。死体隠匿に関する、同色についての錯覚を利用したトリックも、大いに感心する。
けれども、わくわくさせる、何かが足りない。
当時の、公害問題を全面に押し出し、それに絡めて、複数犯人の意外性を持ち込んだ、渾身の作品だといえるだろう。が、わたくしは、なぜだろう、ううむ、そう評価できないのだ・・・。
2009年6月15日(月)読了。