
カバーイラスト/新井苑子
<本格派長編ミステリー>との記述が、カヴァ袖あるが、フーダニットと位置づけるには無理がある。というのは、作者からして、読者に対して犯人捜しを挑戦する気持ちはさらさらないのだ。それは、プロローグを読めばすぐに判る。この時点で、作者は既に犯人捜しを放棄している。さしずめ<サイコスリラー>という表現が、ぴったりとは云わないまでも、無難ではあるまいか。
わたくしは、犯人-その人物-よりも、その動機に一番関心を持ったが、なるほどと納得(というのはまことに不謹慎だろうが)と膝を打ったのは、三つめの事件であって、以降の殺人については、その動機については感心しない。
本書については、質・量からしても、わたくしは、じゅうぶんな力作だとは評価するが、いかんせん主題は、とてつもなく重く暗い。
心して読むべし。
2011年9月15日読了。